感情のコントロールがまだ難しい年齢とされる小学生
小学生の子どもを持つ親として、怒りや悲しみなど、子どもの感情の爆発にどう対処すればよいのか、という問題を抱えている方は少なくありません。
「小学生になってもこんなに感情的で、この子が大人になったらどうなっちゃうんだろう・・・」
そう悩むとき、親として子どもの心にどう寄り添い、どのようにサポートすればよいのでしょうか。
この記事では、子どもが感情をうまくコントロールできない時に親が取るべき具体的な行動や心構えについて掘り下げます。
子どもの感情のコントロールには、日常生活での小さな習慣から、具体的な対処法まで、様々なアプローチがあります。
この記事を通じて、子どもと親との関係をより良いものにするサポートができたら嬉しいです。
この記事の目次
子どもが感情をコントロールできない理由
子どもが感情をコントロールできない背後には、多くの心理的、生理的な要因が存在します。
特に小学生は、自己認識や自己コントロールのスキルがまだ発達途上にあるため、感情の爆発を引き起こしやすいと言えます。
この段階で彼らは、怒りや悲しみといった感情に対処する適切な方法をまだ学んでいないため、小さな出来事に対しても大きく反応することがあります。
また脳科学的に見ると、子どもの脳は成長とともに大きく変化します。
感情を調節する脳の前頭前皮質が完全に成熟するのは25歳前後と言われています。
つまり小学生では前頭前皮質の発達がまだ未熟なのです。
このため、感情を生じさせる扁桃体の反応に対して、理性的にブレーキをかけることが困難であるとされます。
子どもがストレスや挑戦に直面した際に感情的になるのは、この脳の前頭前皮質の発達段階に起因する部分が大きいのです。
環境や周囲の人々の反応も、子どもの感情コントロールの能力に大きく影響を与えます。
子どもが感情的になったときに親として重要なこと
子どもが感情的になったとき、親として最も重要なのは、子どもの感情に巻き込まれず冷静さを保つことです。
親の冷静さが、状況を悪化させず、かつ子どもの感情を適切に管理するサポートになります。
感情的な子どもに対し親が感情的に反応することは、しばしば子どもをさらに刺激し、感情的な衝突を引き起こす可能性があります。
親としての心構え 3つのポイント
1 感情に流されずに、事実に基づいた対応を心がける
2 子どもの感情を認め、受け入れることで、安心感を提供する
3 自分自身の感情管理が、子どもにとっての模範となることを意識する
具体的な対応策
理解を示す
子どもが感情的になる原因を理解し、それに対する共感を示すことが重要です。
具体的には、「それがどれだけ大変だったか想像できるよ」というように声をかけます。
落ち着いた声のトーンで話す
高い声や怒りの声は、子どもの感情をさらに高ぶらせる原因となります。
常に落ち着いたトーンで話すことで、子どもも感情を落ち着けやすくなります。
状況を一緒に整理し、解決する提案をする
子どもと一緒に問題を解決する方法を考えることで、子ども自身の問題解決スキルを育てることができます。
感情的になっている子どもを感情的に怒るデメリット
感情的になっている子どもに対し、感情的になるのは「いけないことだ」「よくないことだ」と教えるために、親が感情的に怒ることはよくあるかもしれません。
「泣くんじゃありません」
「我慢するの!」
「そんなことくらいで怒るなんて、ほんとみっともない」
何度も繰り返しているうちに、親の目論見通り、子どもが感情を出さなくなってくることもありえます。
しかし、感情を抑えるように言って、子どもがそれに従ったとしても、それは前頭葉の働きで理性的に判断したのとは違います。
感情を出すと親に「怒られる」「見捨てられる」「嫌われる」というような嫌なことがあり、その嫌なことを避けるために、感情を表現することを抑えて我慢するのです。
我慢することがうまくいくうちはいいのですが、感情が溜まってくると抑圧がはずれ、感情が暴走するようになります。
なので、子どもの感情コントロールという観点からは、感情的な子どもを感情的に怒ることは避けたほうがよいでしょう。
家庭内コミュニケーションの重要性
家庭内でのコミュニケーションは、子どもが感情の適切なコントロールを学んでいく上でとても重要です。
親と子どもとのオープンな対話は、信頼関係を築き、子どもの感情的な安定のベースになります。
子どもが自分の感情を自由に表現できる環境は、感情のコントロール能力を自然と高めることにつながります。
効果的なコミュニケーションの方法
親が積極的な聞き手になる
子どもが話すときは目を見て聞き、興味を持って反応することが大切です。
これにより、子どもは自分が尊重され、理解されていると感じ、よりオープンになれます。
非言語的コミュニケーションを意識する
体の動きや表情、醸し出す雰囲気もコミュニケーションの重要な部分です。
ハグや、優しく手を添えることが、言葉以上に安心感を与えることがあります。
ポジティブなフィードバックを積極的に行う
子どもの行動を積極的に褒めることで、子どもの自己肯定感が安定します。
自己肯定感は感情のコントロールにも良い影響を与えます。
コミュニケーションを通じた問題解決
家庭内で生じる問題や誤解は、オープンなコミュニケーションを通じて解決しましょう。
問題が生じたときには、子どもと一緒に座って話し合い、双方の意見を尊重しながら解決策を探ることが重要です。
決して上から目線ではなく、対等な人間同士として、話し合うことが重要です。
適切な解決策が見出されなくても、親とオープンに感情について話し合う、そのプロセス自体が、子どもにとって重要な学びとなり、感情のコントロール技術を向上させ、将来いろんな人間関係の中で生きていくための自信になります。
子どもの感情爆発後の適切な対応とは
子どもの感情が爆発した後の対応は、その後の親子関係に大きな影響を与えます。
子どもの感情の爆発によって、親の感情も爆発し、両者ともしっちゃかめっちゃかになることが続くと、子どもは親に対しどんどん不信感をつのらせていきます。
感情的な事件が起こった後には、適切な対応が必要です。
適切な対応により、子どもが安全で愛されていると感じることができ、将来的に同様の事態を避けるための学びを深めることができます。
感情爆発後の対応のポイント
落ち着いてから話し合う
子どもがまだ感情的な興奮状態にある場合は、すぐに問題を解決しようとせず、一度落ち着く時間を与えます。
落ち着いた後、冷静に何が起こったのかを話し合います。
感情を否定しない
子どもの感情を否定せず、「うん、怒っているのはわかるよ。もっとあなたの話を聞きたいから、もう少し落ち着いて話そうね。」となどと声をかけます。
その時、親がまず呼吸をゆっくり行うなどして、落ち着いた姿勢を見せることが効果的です。
子どもの感情を認めつつ、その上で「そういうときは、やめて、って言うのはどうかな?」などと状況にあった適切な表現方法を提案します。
共感とサポートを示す
「大変だったね」などと共感を示し、子どもの気持ちに寄り添います。
また、感情をうまく表現する方法について、一緒に学ぶ機会を作るのもとてもよいでしょう。
例えば、お互いの怒りの感情にニックネームをつけて、「今、イラン(イライラ)ちゃんの調子はどお?」などと声を掛け合い、爆発する前に表現する機会を増やすのも一案です。
長期的な関係の修復
子どもの感情の爆発は、しばしば親子関係に亀裂を生じさせる可能性があります。
子どもの感情の爆発が、親子間のオープンなコミュニケーションを妨げたり、家庭内のストレスと緊張を高める原因になったりするからです。
この亀裂を修復するためには、親が変わらない、一貫した愛情と理解を子どもに示し続けることが重要です。
感情的な出来事は、親子がお互いをより深く理解し、信頼関係を強化するチャンスと捉えてみましょう。
日常で実践できる感情コントロールの習慣
子どもが感情を自分でコントロールする能力を育てる習慣を日常生活の中に取り込みましょう。
これらの習慣は、子どもが自分の感情の波に気づき、適切に対応するスキルを自然と身につけるのに役立ちます。
効果的な感情コントロールの習慣
表現の場の提供
子どもが絵を描いたり、物語を書いたりすることで感情を表現する機会を用意します。
クリエイティブな活動は感情を外に出す安全な方法です。
「怒っている時の感情を絵にしてみよう」などと提案して、題材を感情に親子で色鉛筆やクレヨンなどを使って表現してみるのもよいと思います。
感情日記をつける
子どもに感情日記をつけさせることで、その日に感じたことを振り返り、感情に名前をつける練習をします。
これは自己認識の向上に役立ちます。
呼吸法やリラクゼーションの技術の教育
瞑想や深呼吸など、リラクゼーション技術を教え、感情が高まったときに落ち着く方法を身につけさせます。
日常のコミュニケーションで意識したいこと
親が日常の中で感情に対してポジティブな反応を示すことも重要です。
例えば、子どもが怒りを感じた際には、親はその感情を否定せずに受け入れ、なぜそのように感じたのかを積極的に話し合ってみましょう。
また親自身が、自分はどんな時に怒りを感じるのか、怒りを感じたときはどうしているのか、などを素直にシェアすることで、子どもは感情的になることに対し罪悪感や自己否定感を抱かずにすみます。
そして、子どもにとって感情を適切に処理する方法を学ぶ機会となります。
まとめ
この記事では、「感情のコントロールができない小学生に親はどう接したらいいのか?」という問題に対して、多角的なアプローチで答えを探求しました。
親として子どもの感情の爆発に適切に対応する方法と、子ども自身が感情を管理するための習慣を学ぶことが重要です。
ただ、親自身が自分の感情のコントロールが十分にできていない場合、なかなか感情的な子どもをサポートすることは難しいかもしれません。
そんな人は、子どもの感情と同じように、自分の感情に対しても否定せずに、理解と共感を示してあげましょう。
そして、もっと自分の話を聞いてあげてください。
また、絵を描く、お話を作るなどのクリエイティブな活動を子どもと一緒に行い、お互いの感情を表現してみるのもとてもいいと思います。
子どもに感情日記を書かせる前に、まずは自分で書いてみる、もしくは一緒に書いてみる、のも親子のコミュニケーションがさらにオープンになるきっかけとなるでしょう。
感情のコントロールは一朝一夕には達成されるものではありませんが、コンスタントに努力を続けることで、子どもは(そして親も)感情を適切に管理できるようになっていくと思います。
また、子どもの感情爆発がすごい、子どもの感情を適切にサポートできない、などのお悩みが続いている場合は、専門家の助けを求めることも有効です。
私は10年以上、子育てに悩む方やその子どもたちをヒーリングとカウンセリングを通してサポートしてきています。
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