感情・・・
どれだけ長い間、この感情というものに振り回されてきたでしょうか。
みなさんはいかがですか?
平穏に思えた日々を突然かき回す感情。
さっきまで調子よかったはずなのに、なんだかイライライライラ、イライラモードが盛り上がってくる。
かと思えば、落ち込みモードで、どうせどうせ・・・、と自分を責め続ける。
不安モードに突入すると、どうしよう・・・と考えてもしょーもないことをぐるぐるぐるぐる、考え続けてへとへとになる。
これ、ぜんぶ過去の私のこと。
感情に振り回されても、ものごとはうまくいかないし疲れるので、やめたいんだけどやめられない。
じゃあ、感情ってどうしたらいいんでしょうか?
きれいさっぱり嫌な感情をなくすことはできないのでしょうか。
できます。
ヒーラーとして10年以上感情と向き合ってきた私が、感情の根本的な対処法である「感情を感じること」についてお伝えしたいと思います。
この記事の目次
なぜ感情は手ごわいのか?
私は自分の感情のアップダウンの激しさにずっと悩まされ続けてきました。
イライラして感情が爆発しカッとなってその場にいる人に対して攻撃的になってしまうこともよくありました。
そして後悔して、落ち込んでは自分を責める。
夜眠れなくなるほど、起こってもいないことを心配してどうすればいいのかシュミレーションしたりもしていました。
でもそんな自分だと楽しくないんですよね。
感情に振り回されていない自分は、楽しくって人付き合いもまぁまぁうまくいくのに、感情に振り回される自分はオドオドして人の顔色を伺ったり、反対に威圧的につっけんどんになったりする。
感情なんてなければ何もかもうまくいくのに!とどれだけ思ったことでしょう。
でも感情的になるのはもう金輪際やめようと決意したところで、やれることと言えば、感情的になったときに我慢して無理やり気持ちをそらそうとすることくらい。
イライラしてきたら、(イライラなんてしちゃだめ!、楽しいことを考えよう。)
不安になってきたら、(起こってもいないことを考えたってしょーもない。今は考えるのをやめよう。)
失敗して「なんてダメな自分」と落ち込んでたら、(いやいや、仕方なかったんだよ。次気を付ければいいじゃん。)
しかし頭で何を思ったって、頭でいくらブレーキをかけようとしたって、感情は勝手にどんどんあふれてくる。
そしていつの間にか、思考は感情に振り回されている。
そうなったらもう、勝手に鎮火してくれるのを待つしかない、お手上げ状態です。
私は落ち込み癖がひどく、一回落ち込みモードに入ると3日くらいは抜け出すのに時間がかかってました。
感情って手ごわい、ずっとそう思っていました。
なぜなら感情に対する有効的な対処法を知らなかったからです。
だって親からも周りの大人からも「感情的になるのは悪いこと、抑えなさい!我慢しなさい!」「抑えられないのは努力が足りないからだ。」くらいしか教えられてこなかったし!
感情は我慢したらなくなるのか?
私と同じように感情は我慢するものと言われて育った人は多いと思います。
また感情的になった自分の子どもに対しても、「泣くのをやめなさい」「イライラしても我慢しなさい」などと言っている人も多いかもしれません。
では感情は我慢したらなくなるのでしょうか。
いえ、我慢していてもなくなりません。
多くの人は感情を我慢してもなくならない経験をたくさんお持ちだと思います。
それどころか我慢してたけどどんどん耐え切れなくなって、我慢した分余計感情的になってしまうこともよくあるでしょう。
波立つ感情に蓋をしようとして、コンクリートで塗り固めようとするのですが、簡単にひびが入り、ひびから感情がすごい勢いで飛び出してくるイメージです。
我慢してたらなくなりました、という方も中にはいるかもしれません。
でもそれは感情がなくなったというより、完璧に抑え込めたと表現する方がしっくりくるかもしれません。
波立つ感情の上に分厚いコンクリートで蓋をしたイメージです。
一見穏やかに見えてもコンクリートの下では感情が渦巻いているので、心からのリラックスや幸せは感じられません。
では我慢することが有効でないなら一体感情に対してどうしていったらいいのでしょうか。
感情は本来感じるものなのだ
そう、題名にあるように、感情は感じるのです。
「 Don't think, Just feel ! 」 です。
例えば、小さい子どもを思い浮かべてみましょう。
子育て中の方なら特にイメージしやすいかもしれません。
小さい子どもがさっきまで泣きわめいていたのに、気づいたらそんなことはなかったかのように笑ってる。
天真爛漫でいいなぁ、悩みがなくていいなぁ、なんて思ったこともあるかもしれません。
小さい子どもの感情はそんなふうに泣いたり笑ったり、あとに引きずることはなく、さっぱりして流れがいいものです。
それはなぜか。
小さい子どもほど、素直に感情が波立つがままに感情を感じているからです。
そう、感情は素直に感じて、感じ切ればすっと消えていきます。
なので感情をなんとかしたいと願うなら、我慢するのではなく感じることが大切なのです。
感情を感じることは、感情のままにふるまうことではない
ここで言う「感情を感じる」は小さい子どものように、泣きわめいたり地団太踏んだり、感情のままにふるまうこととは違います。
子どもは感情を感じることと行動がつながっていました。
なぜなら、様々な衝動をコントロールすることを担っている前頭前野という脳の部位が未発達だからです。
それこそ動物のように、原始の欲求に素直なのです。
でも大人がそれをやっていたら社会生活が破綻しますね。
いやでも大人が全員そうだったら、それが普通で何も問題ないのかもしれませんが(笑)。
大人は前頭前野が十分に発達しているので、感情を行動であらわさなくても静かに感じることができます。
もちろん行動にあらわしてもいいのですが、子どものように自然に素直に行動にあらわせる人はなかなかいないと思います。
羞恥心や罪悪感などが邪魔するからです。
「私は時々子どものように感情を爆発させるけど、それって感じることになっているの?」と疑問を持たれた方もいるかもしれません。
でも爆発させた後すっきりと感情がなくならなかったり、定期的に感情の揺れが沸き起こるなら、感情が消えるほど十分に感情を感じられているわけではないと思います。
私も以前はヒステリックに感情を爆発させておりましたが(特に夫に対して)、自信を持って言えます。
それですっきりと気持ちを切り替えられたことは一度もありませんでした!
では感情を感じるってどういうこと?
では感情ってどうやって感じればいいのでしょうか。
私はよく感情の感じ方を、以下のように切り傷の痛みの例えを使ってお伝えしています。
切り傷の痛みの例え
あなたが指先を包丁で少し切ってしまったところをイメージしてください。
指からはじんわり血がにじんでいます。
傷の痛みに意識を向けてみてください。
痛みはどの辺に感じるのか? 切った部分だけ? その周りも? それはどの辺?
その痛みはどんな痛みなのか? ズキズキ? ヒリヒリ? ピリピリ?
痛みの発信元とそのシグナルをじーっと感じ続けるのです。
(あー、指先切るなんて、なんて馬鹿な私)
(なんで切っちゃったんだろ、ストレスたまって疲れてんのかな?)
(いつ治るんだろ?化膿しないといいけど)
などと思考しだしたことに気づいたら、その思考をやめて、痛みに意識を向け続けるのです。
それと同じことを感情に対しても行います。
感情の感じ方
では感情の感じ方を説明してみましょう。
実際はいろんなやり方がありますが、ここでは私が感情を感じることを始めたときにやっていた方法で、クライアントさんにもよくお伝えする方法を紹介します。
上の例で痛みのシグナルと書きましたが、同じように感情にもシグナルがあります。
例えば、怒りのシグナルと、悲しみのシグナルは違うのは想像つきますでしょうか。
怒りは動きのある感じだったり、上半身になにか感じる方が多いかもしれません。
頭がカッカする、という言葉があるように、頭に向けて血が上るように感じる方もいるでしょう。
悲しみはどちらかと言えば、じっと沈み込むような感じでしょうか。
人によって感覚は違うと思います。
また、同じ人であっても、子どもに対する怒りと社会の不公平に対する怒りでは、感覚が違うかもしれません。
実際にやってみよう
最近、一番怒りを感じたことはどんなことだったでしょうか。
怒りを感じた場面を思い出し、その時の怒りを感じてみてください。
もし怒りの感覚を感じるのが難しければ、以下の質問を自分に問いかけながら探っていってください。
・その怒りは体のどのあたりにある感じがしますか?どのくらいの大きさですか?
・その怒りに動きはありますか?動きがあるとしたらどのような動きですか?
・その怒りの質感はどんな感じですか? (例:モヤモヤ、ドロドロ、ネバネバ、岩みたい、霧みたい、など)
・その怒りに色はありますか?あるとしたらどんな色ですか?
・その怒りに温度はありますか?あるとしたらどのくらいの温度ですか?
ぼんやりとでいいので、怒りの感覚がつかまえられたなら、そこにじーっと意識を向け続けてください。
思考に意識がいってしまってることに気づいたら、思考することをやめて、感覚に意識を戻します。
どんどん感覚が強くなるかもしれませんが、じーっとただ感じ続けます。
すると、すっと今まであった怒りがなくなってることに気づきます。
「あれ?何に怒ってたんだっけ?」となるくらい、スッキリとする場合もあります。
はじめのうちはピンと来ないかもしれませんが、やり続けているうちに感覚がつかめてきます。
今、自分はどんな感情を感じてるんだろう、と日常的にチェックするのもおすすめです。
感情は感じればうまくいく
・目の前に何か問題があって、いくら考えても答えが出ないとき、
・なんでこんなことが起きるの?と何度も言ってしまうくらい、嫌なことが起きたとき、
・「絶対馬鹿にされてる!」とイライラがちっともおさまらないとき、
自分ではどうしようもないように思える出来事は、感じなければならない感情があるからこそ起こっているとも言えます。
いち早く出来事の裏にある感情に気づいて感じれば、物事は悪い方向にはいかないのです。
そして感情を感じ切った後に、「ま、いいか」と手放せたり、今まで思いもよらなかった解決策を思いついたり、出来事の違う面が見えてきたりします。
そして感情を感じ続けて感情の流れをよくすることで、感情を感じさせるために繰り返し起こっていた問題は起こりにくくなります。
するとしなやかに柔らかくものごとに対処しながら生きていくことが可能になります。
そして人生がどんどんスムーズになっていくのです。
まとめ
私にとって感情を感じることは集中力が必要でした。
すぐ気がそれてしまうし、どれが感情の感覚なんだかよくわからない感じもありました。
試行錯誤してやっと、感情がスッキリなくなる感覚を得たときは嬉しかったです。
感情を感じれば感じるほど、感情の波は徐々に落ち着いていきました。
やりながら、実はネガティブな感情の中にい続けることを心地よく思っている自分にも気づきました。
落ち込んでる間は、前向きに行動しなくてすむからです。
変わりたいと言いながら変わりたくない、そのままでいたい自分もいたのです。
うーむ、感情って奥深く、そして面白い!
感情についてもっと専門的に知りたい方はこちらの本がお勧め。
「感情の取扱説明書」 谷孝祐著 みらいパブリッシング
今の私は感情が爆発することはなく、夫も喜んでおります(笑)。
一人でも多くの方が、感情とよりよい関係を築いて、一度きりの人生を柔軟にスムーズに生きていけますように。
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