親に気を使うことは案外多くの人にとって日常的な経験かもしれません。
しかし親に気を使うことが原因で生じるストレスや疲れは、しばしば見過ごされがち。
この記事では、なぜ多くの人が親に気を使うのか、その心理学的背景と共に、疲れるほど親に気を使うことの原因を深掘りしていこうと思います。
また、ストレスを軽減し、より健康的な親子関係を築くためのサポートとなるような改善方法を提案します。
親とのコミュニケーションで気を使わずに済むよう、自分自身と親との関係のバランスを見つける助けになれば嬉しいです。
この記事の目次
親に気を使うことの心理学的背景
親に気を使う行動は、多くの場合、幼少期の経験に根ざしています。
子どもは親の愛情や承認を求めるものです。
その結果、親の期待に応えようとする心理が働くことがあります。
特に、親がありのままの子どもを認めず、親の期待に応えられない子どもに対し、ダメ出ししたり、がっかりしたり、感情的に怒ったりすることが続くと、子どもはありのままの自分でいるよりも、親に気に入られるようにするにはどうすればいいのか、思考を働かせるようになります。
つまり子どもは自分を偽るようになるのです。
この心理が成長しても続くと、親に対して常に気を使うようになります。
気を使う行動が及ぼす長期的な影響
親に対して過度に気を使うことは、自然に出てくる自分らしい自己表現を抑え、親の顔色を伺い、親に対する正解の言動や行動はなんだろうかと、常に思考を働かせなければなりません。
それは難解な問題を解いているようなものです。
そして、不正解なら、親からの愛情や承認をもらえません。
そしてどれが正解になるのか、不正解になるのかも、一貫しておらず、親の機嫌次第で変わったりします。
そんなプレッシャーの中、親から嫌われてしまうのではないか、がっかりされるのではないか、怒らせるのではないだろうか、と不安を感じながら、思考を巡らせるのです。
これは、想像以上のストレスの原因になります。
また子どもは小さければ小さいほど、親が子どもの命を握っているのも同然です。
なので、自分の態度次第で、親から愛情や承認をもらえなくなる、という不安や怖れは、死に対する不安や怖れと近いものがあるのです。
疲れてしまうのは当然のことです。
長期的には、自己肯定感の低下や依存的な人間関係の形成につながることがあり、これが社会的な関わりや職場での関係にも影響を与えることがあります。
親子関係のストレスを管理する実践的な方法
じゃあ、これだけ疲れてストレスになるのだったら、親と離れればいいじゃん、とスッキリ割り切れないのが親子関係ですよね。
もちろん、経済的事情などで、親と一緒に暮らさざるを得ない人もいるでしょう。
また、離れて暮らしていても、定期的に親に会うのは当然、親の電話に出るのはマスト、などという習慣の中にいる人もいると思います。
では、親と一緒に居続けなければならない人が親子関係のストレスを管理するためにはどうしたらいいのでしょうか。
疲れるほど気を使う、その裏には、親に本当に言いたいことが言えていない、親の前で本当にやりたいことがやれていない、ということが隠れています。
また、言いたいのに言えない、やりたいのにやれない、ことに付随して、いろんな感情が湧き上がっているはずです。
怒り、悲しみ、寂しさ、不安・・・などなど
親に気を使う時、そういう感情も抑えて振る舞うので、余計疲れるのです。
なので、まずは自分自身の本音や感情を理解することが重要です。
具体的な方法としては、最初は自分の本音をノートに書き出すことをおすすめします。
頭の中でぐるぐるしているだけだと、その場で流れていってしまうだけで、理解まではいかないからです。
そして、書き出しながら、自分の感情を感じてみてください。
自分の本音と感情を理解するだけでも、親に気を使う疲れやすさが変わってくると思います。
親との間にルールを設定する
さて、ではもう一歩進んで、親に気を使わない関係になるにはどうしたらいいのでしょうか。
重要なことは、親が子どもに気を使わせないように変わってくれる、という期待は手放すことです。
人間、年を取れば取るほど変わりにくくなる人がほとんどです。
親に変わってくれることを期待していると、何度も裏切られて疲労だけが増していく、ということになりかねません。
なので、自分が心地よくいられる範囲を確保するためのルールを親との間に引いていきましょう。
具体的にはどうしていったらよいのでしょうか。
まずは、幼かった時と違って、今は親は自分の生死を握っている存在ではない、ということを理解しましょう。
特に、もう大人になっているなら、(親が不機嫌になる)など、自分に対する親の直接的な反応によって、死ぬことはないでしょう。
親はもはや、あなたの人生を握っているような存在ではないのです。
では、親が変わってくれるという期待を手放す、親は自分の生死を握っている存在ではないと理解する、この二つを認識した上で、ルール設定を始めましょう♪
前のセクションで、親に気を使う裏にある自分の本音を書き出し、感情を感じることをお薦めしましたが、これをやっておくと、親との関係において、どのような時にストレスを感じるのか、どのような対応をされると心地悪さを感じるのか、などを明確にすることができます。
それに基づき、自分が心地よくいられるためのルールを設定していきます。
例えば、親が不機嫌になってくると、気を使わなければならなくなる、としたら、親が不機嫌になってきたら、トイレに行って、そのままフェイドアウトする、などというルールを決めます。
例えば、しょっちゅう愚痴の電話がかかってくるので、いちいち慰め役をするのに気を使う、のだったら、親からの電話に2回に1回は出ないようにして、決して掛け直さない、などというルールを設定します。
この段階では、いきなり、本音を話す、などというルールにはしない方がいいです。
親が変わらない限りは、感情的に反応されて、余計疲れる可能性が高いからです。
これならできそう、というものをルール化していきましょう。
そうやって自分で設定したルールに従っていると、疲れる、ということが減っていきます。
そう、今までの疲れるまで気を使わなければいけない関係性は、親主導のルールでできた関係性だったんですね。
それを自分流のルールに書き換えていくイメージです。
ルールは都度見直して、より心地よい自分でいられるものに更新していきましょう。
そうやって自分が心地よくいられるようになり、気を使わず本音を話すことも案外できそう♪、と感じられたなら、実行するチャンスです!
親に気を使うより、自分に気を使う人生を送ろう!
疲れるほどに親に気を使う、ということは、自分より親の機嫌の方が大事、ということとほぼイコールです。
それは他人軸で生きている、ということです。
そういう人は、親以外の人にも気を使う傾向が強いかもしれません。
なぜ他人軸で生きてしまうのかというと、ありのままの自分に自信が持てないからです。
特に、親にありのままの自分を認めてもらえず、親の望むような『いい子』でいることを暗に求められた人は、その傾向が強いです。
そして、自分をすり減らしてまで、相手に合わせようとしてしまう。
ありのままの自分で、のびのびと生きていくためには、まずは『自分自身を誰よりも大切にする』、ということをしていきましょう。
そう、親に気を使うより、自分に気を使うのです。
親に気を使うのは疲れますが、自分に気を使い、自分を大切にしてあげれば、自分はどんどん元気になります。
例えば、母親が喜ぶようなことはなんだろうと考える。
それが自分の喜びにつながる場合もありますが、考えすぎて疲れてしまう場合は、もういっそのこと、自分が喜ぶようなことはなんだろうか、と考えましょう。
あなたが、自分が大切にされている、自分が喜んでいる、と感じさせるようなことは何でしょう?
一人でお気に入りのカフェでゆっくりとコーヒーを飲むこと?
お気に入りのバスソルトで半身浴すること?
寝る前に丁寧にストレッチすること?
あなたに合った、自分を大切にすること、自分を喜ばせること、を実行してみてください。
そうすることで、誰にも気を使うことのない、自分らしい人生に近づいていきますよ。
専門家のサポートを受けることも有効
ただ、生まれた時から、いや母親とは、母親のお腹の中にいる時から続いている親子関係ですから、ルールを設定しても、またいつの間にか元に戻っている、ってことも起きてくる可能性はあります。
それほど、親子間のコミュニケーションパターンは気を使うのが当たり前になるほど、刷り込まれているのです。
自分一人では、どんなルールを設定していいのかわからない、無意識的に親の反応を伺ってしまい、気を使うことがやめられない、などという方は、カウンセラーやセラピストなど、親子関係の専門家にサポートを依頼するのが助けになります。
私は、2009年より親子関係に悩む方にセッションを提供してきています。
興味ある方はこちらのページをご覧くださいね。
まとめ
私自身も、親に気を使い、どっと疲れて自分の家族に当たったり、胃痛を起こしたりするところから、ルールを設定し、自分を大切にすることを続けてきました。
私が今まで設定してきたルールは以下のような感じです。
「母親の愚痴を聞かない」
「父親に価値観を押し付けられても、適当にかわして同意しない」
他にもたくさんありますが、この二つは今でも気をつけています。
なぜなら、母親の愚痴パワーも、父親の価値観押し付けパワーも、かなり強力だから 笑
ちなみに、父親の価値観の押し付けに真っ向から反対すると、父親がキレて余計疲れるので、「適当にかわして同意しない」くらいが、自分にとって心地いいんです。
そんなふうに、自分らしいルール設定をし、親との間に心地よい距離感を保ち、「疲れるほど気を使う自分」を変えていきましょう。
一人では難しいって方はどうぞお気軽にご相談ください。
あなたの悩みに丁寧に寄り添いサポートします。
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